SPECIAL

「Free!」シリーズ ×
「二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-」 ×
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」シリーズ

コラボインタビュー

小野大輔 × 内山昂輝

現在、好評放送中のTVアニメ『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』。三添洋輔役・内山昂輝さん、坂本清六役・小野大輔さんは、本作を制作する京都アニメーション作品に多数出演している。

二人にとって京都アニメーション作品とは、どのような存在なのか。『Free!』シリーズや『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』シリーズ(以下、『ヴァイオレット』)を経て、『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』はどのような進化、変化を遂げたのか。演者ならではの視点で、京アニ作品の“現在地”について語ってもらった。

●京アニの“繊細な映像”と、芝居の“足し引き”

――お二人はこれまで、さまざまな京都アニメーション作品に出演されています。まず、演者の立場から見た京アニ作品の特徴や、ご自身にとっての京都アニメーションについて教えてください。

小野:仕事を始めた当初は「アニメに関わること」=「京都アニメーションの作品」でした。鶴岡(陽太)さん(※)が音響監督を務めていた20年以上前の作品がはじまりで、その後、別作品で主人公役をいただき、『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズがあり、今に至ります。京都アニメーションさんに見つけてもらい、育てていただいたという感覚があります。

内山:(出演作リストを見ながら)小野さん、京アニ作品への出演が本当に多いですよね。

小野:ありがたいね。京都アニメーションさんは、ここまで絶え間なく成長を続けて来られましたよね。その歴史の節目節目に役者として関わらせていただいて、連綿と受け継がれるものを間近で見て、共に歩ませていただいたことを嬉しく思っています。

※鶴岡陽太…音響監督。京都アニメーション制作の多くの作品の音響監督を担っている。

――内山さんにとっての京アニ作品はいかがですか?

内山:最初に主人公で出演させていただいた作品があり、そのあと『Free!』シリーズの一つである『映画 ハイ☆スピード!-Free! Starting Days-』(以下、『映画 ハイ☆スピード!』)や『ヴァイオレット』などに参加しました。実は、すべて指名をいただいた作品なんです。

小野:オーディションじゃなかったんだ?

内山:はい。逆に、オーディションを受けた作品は落ちましたから(笑)。そんなこともありつつ、演者の立場から見ると、京アニ作品はキャラクターの表情や仕草がすごく細かいなと感じます。僕らはアフレコに向けて、表情や動きを見ながらセリフを準備したり、声を当てたりするんですが、京アニ作品は、セリフを言っている間にも表情がどんどん動くんです。その変化をどう声で作るかは、いつも迷いますね。基本的には表情の変化を拾っていくのが定石ですが、全部拾うと、全体の映像としてはうるさくなることもあるんです。

小野:画によって、声の足し引きが必要になるってことだよね。

内山:そうですね。あまり大げさに表現しなくても、画が物語っているなら引き算をしますし、完成したときにそれでちょうどよくなることがあるんです。特に京アニ作品の場合、アフレコの段階で映像がほとんどできていることも多いので、自分はそこに何を加え、何を引くのか、迷いつつもじっくり考えられるんです。

小野:京アニのアフレコ素材はカラーでほぼ仕上がっていますし、線画だとしても表情は絶対にわかる。それだけのクオリティのものをアフレコの段階でいただけるからこそ、足し算と引き算ができるんです。これだけ動いていたら、僕らが足す必要はないって。その判断を僕らができるのは本当に贅沢なことだと思います。

――小野さんは長年、京アニ作品に出演されていますが、演者側から見て京アニ作品の“変わらないもの”はなんでしょうか。

小野:画のクオリティが最高の水準でずっと安定していることですね。関わらせていただいた作品の頃から、映像素材がもう完全に出来上がっていて驚きました。20年以上前の当時は、アフレコのときに画が出来ていないことがほとんどでしたから。でも、京アニ作品はそれ以降も変わらず画が出来ていました。たとえばキャラクターがしゃべっていないときの表情からも、感情や呼吸感がしっかり伝わってくるんです。
今は業界全体で技術は進化しています。スケジュールも見直されている。でも京都アニメーションはその高いクオリティを20年以上前からずっと保ち続けています。それは上の世代から下の世代へ受け継がれている志です。その志の“継承”を20年以上見てこられたのは、役者としても大きな財産になっています。

●長期シリーズだからこそ実感できる自身の“進化”

――お二人は、『Free!』シリーズで共演されています。内山さんは、2015年公開の『映画ハイ☆スピード!』から桐嶋郁弥を演じられてきました。

内山:僕は小さい頃から仕事をしていて、その時々の自分の年代に近い役をやることがある種の強みであり、自分のアイデンティティでもありました。でも、郁弥は大人になってから演じる中学生のキャラクターだったんです。当時は20代半ばくらいで、正直、自分が中学生をやるんだと構えてしまって……。かわいらしいキャラクターでもあったので、「こんなかわいいの、難しい」って現場でぼやいていたんです(笑)。

小野:得意じゃなかったんだ?

内山:そうですね。自分は等身大の役をやるものだという意識が今よりも強かったんだと思います。でも、まわりの方が「できる、できる」とおだててくださって、おかげさまでなんとかトライすることができました。それでも、リアルというものを大事にしていたので、自分の声は本当に郁弥に合っているんだろうかと、ずっと考えていましたね。

小野:郁弥、かわいかったよ!

内山:ありがとうございます。10年経った今の自分からすると、本当に恵まれたチャンスだったなと思います。とても勉強になった作品でした。

――小野さん演じる金城楓は、登場こそTVシリーズ第3期『Free!-Dive to the Future-』でしたが、声がついたのは『劇場版 Free!-Road to the World-夢』からですね。

小野:途中から登場する濃いキャラクターだったので、最初は掴むのに時間がかかりました。オーディションではなく、鶴岡さんから「ここは小野大輔だろう」と言ってもらいました。でもめちゃくちゃダメ出し受けたけどね(笑)。

内山:急に出てくる濃いキャラクターですからね。

小野:第1期からずっと作り上げてきたメンバーの結束力がすごいし、アフレコ現場の雰囲気もよかったので、「やってやるぞ」という気持ちでギラギラしていました。そうしたら、テストで(遠野日和役の木村)良平が「めちゃくちゃ怖いです!」と。鶴岡さんからは「そんなに不良にしなくていい。荒すぎる。でも強くはあれ」と。ファーストアプローチに失敗したことに頭を抱えました(笑)。

内山:強いキャラクターだからこその難しさがありますよね。

小野:そうだね。でも試行錯誤したおかげで結果的にはキャラクターとリンクできたと思います。最初からその場所にいたわけではないけれどずっと気にしていた。それは僕の気持ちでもあり、楓の気持ちとも繋がる。そういう意味でも、劇場版に参加させていただけたのは光栄でしたし、京都アニメーションとともに歩んでいると改めて実感できた作品でした。

――そして、現在「Free! Series ORCHESTRA CONCERT 2026 ―Beyond the New Journey―」が開催されています。内山さんは新たに郁弥の声を録ったそうですね。

内山:久しぶりだったので、ブランクを感じるかなと思っていたんですが、やってみたら結構いけるなと感じたんです。悪くなかったな、と思いました(笑)。

小野:今のほうがさ、出力も技術も上がっているなって感じることない?

内山:技術的には、いろいろなものをカバーできるようになったと思います。『映画 ハイ☆スピード!』のときと比べると、もちろん瑞々しさは失われているので、そこを技術でカバーするみたいな意識があったというか。

小野:でも経験を重ねるとカバーできるんだよ、絶対。それはうっちーの進化だと思う。

――たとえば、小野さんも『涼宮ハルヒの憂鬱』の古泉一樹を今も演じる機会がありますよね?

小野:今年はTVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』が20周年なので、いろいろな収録がありました。10年目くらいの頃に「うまくできないな」と思ったことがあったんです。自分がキャラクターよりずっと大人になって、ズレがあるような感覚ですね。でも今はもう一周して、技術的にも出力的にも、気持ちも追いついてきて、作品への理解度も深まっている。すごくやりやすく感じています。うっちーと同じように「悪くなかったな」というか、もう最近は「今が一番いい古泉だな」と思うことがあります。

内山:ここにきて(笑)。熟成されてきたんですね。

小野:きっとね、『Free!』シリーズは(イベントも続いていて)、今後10年、20年と繋がりが続いていく作品だと思いますし、郁弥も楓もそういうキャラクターになっていくんだと思います。

●京アニの新たな“挑戦”に感じたものとは?

――内山さんは『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』でベネディクト・ブルーを演じられました。

内山:ずっとしゃべって、物語が動いているキャラクターは、エンジンが回り続けるので、波に乗りやすい感覚があるんです。でも、ベネディクトはTVシリーズのメインキャラクター一覧にはいますが、必ずしも焦点が当たり続けるわけではなく、要所要所で登場するタイプのキャラクターです。セリフが少ない回があったり、登場しない回があったりするキャラクターなので、瞬発力が求められるんです。その瞬間瞬間に、果たすべき役割をきちんと表現しなければいけないというか。そういうアシストする役割を勉強できました。

小野:難しいよね。レギュラーと言われていてもワンクールの半分も出ていないこともあるから。

内山:仕事量としての準備は少なく済むんですが、いざ収録が始まると「これでいいのかな」って不安になりますね。

小野:出番は少なくても、作中の見えないところでずっと存在しているわけで。ちょっとした出番で「この世界で生きていますよ」と示すのって、実はすごく難しいよね。

内山:作品の流れを把握して、そのキャラクターをしっかり積み重ねていないと、ひとりだけ浮いてしまう可能性もありますからね。だから、流れを意識しないといけないんだなとずっと考えていました。

小野:楓のように途中から入る場合も、その世界ではちゃんと存在し続けていた人にしないといけないんです。そのためには、現場で周りの役者さんやスタッフさんとコミュニケーションを取ること、相手のセリフをよく聞くことが大事なんです。レギュラーでずっと出ている役とはまた違うアンテナの張り方があって、それは僕も勉強になりました。

――小野さんは『ヴァイオレット』をご覧になっていたそうですね。

小野:『ヴァイオレット』は悔しかったですね、最初は。

内山:悔しかった?

小野:参加したかったなって。この作品自体に心を射抜かれてしまって、何回泣いたかわからない。劇場版も映画館で泣いたし、出演できているうっちーを羨ましく思いながら見ていました。

内山:でも、やるとしても僕の役ではないですよね?

小野:うん。もし自分が受けるとしたら、やっぱり少佐(ギルベルト・ブーゲンビリア)でしょうね。でも最後まで見て思ったのは、これは浪川(大輔)さんにしかできないな、と。少佐は、優しすぎて罪な人じゃないですか。少し人たらしな部分もあって、みんなが支えたくなる人。それが浪川さんとぴったり重なったんです。悔しいけど嬉しい。役者として不思議な感覚になりましたね。

――では、現在放送中の『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』についてもうかがいいます。これまでの京アニ作品と比べて、どのような印象を受けましたか?

小野:太田(稔)監督は、すごいアイデアマンで、チャレンジャーですよね。喜八の見る幻想シーンのように、明らかに異質な映像が放り込まれるシーンがたくさんある。あれをやるのは勇気がいると思います。さっき話したような、繊細で美しい“京アニらしさ”とは、まったく異質なものなんです。繊細な場面もたくさんありますが、紙芝居のようにカタカタ動く場面もある。行間で読ませるような演出や、ことさら説明しないセリフ回しも含めて、この作品ならではの進化を感じました。

内山:僕もまったく同じ感想です。京アニらしさがベースにありながらも、これまで出演した作品と比べると、あえて表情を崩すようなところもあって、そこに異色さを感じました。本筋のエピソードがありつつ、「何だったんだ、この回は」というような強烈なゲストキャラクターが登場する回もありますし、キャラクターたちがいきなりバンドをする回もあって。ぶっ飛んでいて、遊び心があるところも面白いと思いました。

――第11話まで放送されていますが、内山さん演じる三添洋輔と、小野さん演じる坂本清六の関係性も明らかになりましたね。

小野:自分で言うのもなんですが、清六は罪な男だなと思います。周囲に夢を見せるだけ見せて、先に逝ってしまった。だからこそ洋輔には楽になってほしいと思いました。清六はそんなことを望んでいないよって。清六は第3話で、電氣の計算能力は人を凌駕するという話をしていましたよね?

内山:ありましたね。

小野:その行き着く先は電子頭脳(作中では『電氣頭脳』)。つまりはコンピューターで、それは人類の夢です。でも洋輔は、清六が残した夢を清六そのものに向けてしまう。大切な人を失ったとき、その人が喜ぶことや笑ってくれることをしてあげたいと、僕はいつも思っています。だから清六そのものが生きる意味になってしまっている洋輔が悲しかったですね。

内山:洋輔は、ずっと清六にこだわってきましたからね。清六の夢を自分の力で形にするというのが行動原理になっていたので、そういう意味ではシンプルだったと思います。清六が残したメッセージや目録に従って、清六を復活させる。ただただまっすぐにその目的に向かって突き進んでいただけなんです。コミカルなシーンもありましたが、自分の目指すべきことのために大胆な行動を取っているキャラクターなんだと思います。

小野:僕も最初は、洋輔が何を考えているのかわからなかったんですよ。でも、振り返ると何を考えているのか一番わかる人だった。

内山:ひたすら、まっすぐだったんだなという感じがします。清六はいろいろな人に影響を与えて世を去った人で、特に洋輔はその影響を強く受けているんです。だから、もう自分には清六しかいない、という感じなんだと思います。

――いよいよ残すところ2話となりました。今後の見どころを教えてください。

小野:第1話から丁寧に、丁寧に紡がれてきた物語がすべて報われる結末を迎えます。それが何よりも嬉しかったです。個人的にはここに行きついてほしいという未来に行きついたと感じて感無量でした。ぜひ最後まで喜八たちを見守ってください。

内山:洋輔は、清六が残したものと清六への思いに突き動かされてきました。いろいろな人に迷惑も掛けてきましたが、その洋輔が今度は喜八とタッグを組むことになります。ずっと憎しみをぶつけてきた喜八とのシナジーが何をもたらすのか。最後まで見届けていただけたら嬉しいです。

『Free!』シリーズ
イベント『Free! Series × 岩美町2026―Beyond the New Journey―』が2026年10月10日(土)~12日(月・祝)にて鳥取県岩美町にて開催!
同イベント内フェス『Free!×岩美町 THANKS FES 2026』の自由席(立ち見)が現在一般販売中!
https://iwatobi-sc.com/event/iwami2026/

『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』
ABCテレビ、TOKYO MX、テレビ愛知、BS11にて好評放送中! Netflixにて世界独占配信中!
Blu-ray&DVD 上巻が2026年10月28日(水)発売、下巻が2026年11月25日(水)発売!
2027年1月24日(日)には『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』スペシャルイベント(仮)がヒューリックホール 東京にて開催決定! 小野大輔、内山昂輝も出演予定!
https://denkimokuroku.jp/news/?id=71

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』シリーズ
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』Chamber Concert(大阪公演)が2026年11月14日(土)に大阪シンフォニーホールで開催決定! 只今、先行抽選申込受付中!
https://violet-evergarden.jp/news/?id=223