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「劇場版 Free!-the Final Stroke-」前編

初日舞台挨拶上映後
オフィシャルレポート

※本レポートには「劇場版 Free!-the Final Stroke-」前編 本編の内容が含まれます。

2021年9月17日

島﨑信長(七瀬遙役)×
河浪栄作(監督)×加藤達也(音楽)

「劇場版 Free!-the Final Stroke-」前編が公開された9月17日(金)に、新宿ピカデリーにて初日舞台挨拶が開催されました。登壇者である七瀬遙役の島﨑信長さん、河浪栄作監督、シリーズで音楽を手がける加藤達也さんに加えて、舞台にはマスコットキャラクターであるイワトビちゃんとサメヅカちゃんの姿も。本レポートでは上映後に行われた舞台挨拶の様子をご紹介いたします。

公開を迎えた心境について、島﨑さんは「試写で観たときからずっと気持ちがハイになっていました。上がっていたハードルを悠々と飛び越えていったような感じで、早く皆さんに観てほしいし、楽しんでほしいと思っていました。率直に言ってとっても幸せな気持ちです」と語り、河浪監督は「エンターテインメントの仕事としての存在意義が問われる状況下にありますが、このようにお届けすることができて良かったです」とコロナ禍であっても公開を迎えられた喜びを伝えました。そして加藤さんは「『Free!』にはひとしおの思い入れがあり、本当に今日の日を迎えられてよかったです。自分としては悩んだ時期が長かったけれど、その結果を今日皆さんに観ていただけたかと思います。感無量です」と述べました。

今作で遙を演じるうえでの心境の変化を問われ、島﨑さんからは「何かが大きく変わったということではありませんが、色々な経験や気持ちを積み重ねて遙が成長したように、僕もまた『Free!』に関わる中での積み重ねがあったと思っています。その積み重ねが『Free!』シリーズではずっとリンクしている感覚がある。今回は今までで一番良い状態で収録に臨めた気がしています。久しぶりの収録でも“『Free!』の現場”となると、今まで積み上げてきたものやみんなで繋いできたことが自然と乗りました」とこれまでのシリーズの歴史を感じさせるコメントが。

話は打ち合わせの様子へ。島﨑さんによると、「普通の現場では音響監督を介してしか監督や演出とは話しませんが、『Free!』では鶴岡(音響監督)さんが『聞きたいことを聞け』と言って河浪監督への質問タイムが始まります。脚本の完成度が高いので大きな部分ではなく、細かいところを深く理解するための質問ですね。遙にしても“こういうことでこうなったんですね。こういう思いがあったんですね”と確認しています。『Free!』シリーズは(このような)話し合いの場を設けるくらいみんなで良いものを作ろうという気持ちが強く、ここまでの現場はなかなかないですね」とのこと。河浪監督が「フルボッコられですよ」とおどけると、島﨑さんからは「後編に向けてどうか(傷を)治していただいて、今後とも強い心と体でみんなの気持ちを受け止めてもらえれば」と激励の言葉が。

続いて音楽へのこだわりが語られました。加藤さんによると「今回は制作までの時間が長かったので、自分の中でアップデートされた部分を練り込みたかったし、ファイナルということでここでしかできないものを作りたいという意気込みが強かったです。最初は自分にプレッシャーをかけすぎて止まってしまうこともありました」とのこと。また今作での挑戦として「映画では先に映像があって指定されたシーンに音楽を発注していただくのですが、今回は自分から提案もさせていただきました。また音楽は芝居に合わせてつけていくものですが、(今作では)合わせすぎないようにもしています。アフレコ後の音声からは島﨑さんがおっしゃったように『Free!』の積み重ねを感じました。キャラクターの芝居が自然で、裏付けされた歴史の説得力やリアルさを感じたんですね。音楽としてはそこを強調して自然に見せたいと思って今回はこういうチャレンジになりました」というこだわりのエピソードが。これを受けて河浪監督は、「音と映像を合わせたときに『加藤さん攻めてきたな』と、期待以上のものになったと思いました。前の『Free!RW』の頃は今までの作品のモチーフのメロディを積み重ねている感じでしたが、今作はすごく上品な形で加藤さんの思う“『Free!』映画の音楽”を固めてきたなと。『Free!DF』では異物という感じだったアルベルトが、今回遙と泳いでいるシーンではすごく溶け込んで入ってきましたね」と語りました。

河浪監督が「最初の打ち合わせで加藤さんは想像していた映画と違って面食らったと言っていましたね」と尋ねると、加藤さんは「ストーリーというより演出面ですね。たとえば競泳のシーンでも今まではわかりやすく描かれていたのが今回はどっちにいくかわからない複雑な演出がされていて、音楽をつける上では難しかった。明るいシーンと暗いシーンが交互にあったりして、どちらに寄せて音楽を作るかが難しいシークエンスもたくさんありました。そういう意味では『監督攻めてきたな』と感じました」と返しました。島﨑さんは「みんなが攻めた結果ですよね。僕らもけっこう攻めていました」と話を繋ぎ、「すごく挑戦的な作品ですよね。これだけ長いことやっている作品なのに未だにみんな守りに入らず攻めている。これから始まる新しい作品かのようにがむしゃらに新しいことをやっている。音楽からも“『Free!』らしさ”と“新しさ”を感じました。みんなが攻めているのに自然な形で調和させるのは、積み重ねがなければ実現できなかったことだと思います」とまとめました。

もう一度観るときに注目してほしいシーンを聞かれると、島﨑さんは「金城の話ですね。金城がめちゃくちゃかわいい!」とヒートアップ。その後も熱弁は続き、「前はちょい見せだったのが、今回で一気に来ました。『Free!』のキャラたちは一人一人にしっかりバックボーンがあるので、(金城も)絶対に愛すべき魅力的な役になるとは思っていましたが、みんなと同じところまで上がってきたのが良かったです。可愛いんですよね、一つ一つの動作とか言動が。『Free!』は所作やちょっとした動きにもちゃんとその人の性格が乗っているすごい作品です。ものすごいこだわりと愛と技術だと思います。金城がこういう動き(前のめりになる)をしますが、それがとても好き。僕の勝手な解釈ではありますが、金城のその動きには実は関わりたいとか本当は話したいとかの前のめりな思いが出ていると思います。だったら早く『日和!』って行けばいいじゃんと思うんですが、行けないんですよね」と語る島﨑さん。話は遙と金城との関係にも及び「僕の解釈では、遙の“ズレ”については真琴がうっすらと気づいているくらいで、遙は自分でも気づけていないところがあった。実はアルベルトを除くと唯一気づいていたのが金城なんですね。『俺以上に食らってると思うぜ?』って。同じ次元で同じ場所で泳いだからというのもあるけど、金城はちゃんと周りのことを見ている。アルベルトが棄権したときも遙にわざわざ自分から話しかけたり、あのあたりから遙のことを認めはじめて興味を持っているんですね」と語ります。さらには「もっと好きなのは郁弥が思うように結果を出せなかった辛いシーンで、金城が『応援してる奴がいるのによ』と言うシーン。あれは裏を返すと“俺は日和が応援してくれるなら絶対負けねえ”という熱い想いです。郁弥に対して“ざまあみろ”って思ってもいいのに、“でもこの郁弥を見て日和はどう思ってんのかな”という思いもきっとあるから“ざまあみろ”とは言えない。そしてそのことに対してちょっとイラついている。キャラ的にはやってもおかしくないのにそうじゃないとか、金城の一つ一つが好きですね」と盛り上がり続けたところでタイムアップ。加藤さんから“金城愛”が強いと突っ込まれると、島﨑さんは「違うんです! みんな好きなんですけど一気に追いついてきたから金城の話になったんです。本当は全キャラクター一人一人に話すところがあるんですよ!」と釈明しました。

いよいよ最後の挨拶の時間になり、まずは加藤さんから「これからみなさんには何度も観ていただきたいですが、僕としても音楽にはたくさんこだわったので劇場でぜひ感じていただきたい。後編ではスタッフ・キャストが一丸となって更なる飛躍を見せると思うので、それを期待して(前編も)何度も何度もご覧になってください」とのコメントが。続いて河浪監督は「自分としては映画に対する距離が近すぎてなかなか客観的に見られないところもあるが、後編にうまく繋がるいい映画になったと思います。公開初日なのでこれから広がっていけばいいなって思っています」と語りました。最後に島﨑さんは「5時間くらい話したいな……」と前置きしたうえで、「僕が試写会で観たとき、最初の感想は二つあったんです。一つは観ている最中の“ずっと見ていたいな”でした。1カットごとに全部が素敵すぎて愛と技術と情熱と想いを感じました。ずっと見ていられたら幸せだなって。そして見終わった後の感想は“『Free!』だ”っていうものでした。普通だと意味がわからない感想かもしれませんが、この作品らしいなって。『Free!』だからこそ“これは『Free!』だな”って感想が出てくるという不思議な気持ちになりました」と述べ、お客様へのメッセージとして「僕は大好きで幸せで仕方がありません。みなさん後編まで待ちきれないと思うんですが、きっと素敵で最高で幸せな景色をお見せできると思います。みなさんも後編まで気持ちを高めて楽しみにしていただければ」との言葉が。最後に島﨑さんより「本日は来てくださって、『Free!』シリーズを愛してくださってありがとうございました!」との挨拶があり、舞台挨拶は終了しました。

「劇場版 Free!-the Final Stroke-」前編

初日舞台挨拶上映前
オフィシャルレポート

2021年9月17日

島﨑信長(七瀬遙役)×
河浪栄作(監督)×加藤達也(音楽)

9月17日(金)に「劇場版 Free!-the Final Stroke-」前編の初日舞台挨拶が新宿ピカデリーで開催され、七瀬遙役の島﨑信長さん、河浪栄作監督、シリーズの音楽を手がける加藤達也さんが登壇、続いてシリーズに登場するマスコットキャラクターのイワトビちゃんとサメヅカちゃんが登壇いたしました。

本作の感想を島﨑さんは「試写で皆さんよりちょっと先に拝見しているんですけど、その時に幸せすぎて、良すぎて。『Free!』シリーズは思い入れが深いし、良い作品なだけに(アフレコが)始まる前のプレッシャーとか、公開される前のプレッシャーとか、節目節目にプレッシャーがあったりするんですけど、この作品は試写で観て、『いいぞっ!』って思いました。これがダメって言われたら何が良いのか分からないと思うくらい、僕のなかで良いものでした。ただただ楽しみで、早くみんなに観て欲しいし、知って欲しいし、楽しんで欲しいし、共有したいし、みんなの感想も知りたいです。(公開されることが)ひたすら楽しみですね、不安とかドキドキとかなくてワクワクしてます」と、作品が多くの人に観られることへの期待を滲ませました。
また河浪監督は「コロナ禍で我々のエンターテインメント業界というものが本当に必要なのかどうかとかなり問われた状況ではありましたが、多くの方の尽力があり、公開にこぎつけることができたので、公開できてよかったなと思っています」と語ると、加藤さんは「自分としても新たな切り口で今作に臨ませていただきました。また、後編も待っているということで、今日の日を迎えられたということに感無量です」と続けました。

今までの「Free!」シリーズと、今作との心境の変化について、島﨑さんは「逆にアフレコ現場はいつもの『Free!』でしたね。変わってないということではなく、遙たちと一緒で、遙たちはいつも遙たちだけど、どんどん変わっていっているじゃないですか。出会って別れもあって、再会したりもして、絆を育んで、どんどん成長して、強くなってというのがあります。急に変わったわけではなく、ずっと地続きで色々なものが積み上げていって変わっているなという感じです。今までの『Free!』シリーズの延長線上だし、でも今までで一番より積み重ねていて。僕自身も『Free!』シリーズとリンクして、遙と同じような状況になったり、重なる部分があったり。僕が苦しんだ時に遙も役のなかで苦しんでいたとか。一緒に育ててもらったし、成長したし、歩んでいったという気持ちがすごくあります。今までで一番成長した遙たち、それこそ世界に飛び立ち始めた遙たちを演じさせていただきました」とシリーズを通して遙とともに成長してきたことを振り返ります。
島﨑さんは続けて、「みんなでより良いものを作って行こうと寄り集まって作ってきたものが『Free!』シリーズなんです。普通は、役者は監督と直接やりとりはせず、音響監督(鶴岡陽太)さんを介してやりとりをするんですけど、監督がブースに入ってきたら鶴岡さんが『はい、(河浪監督に)聞きたいこと聞いて』と言い、監督は質問攻めに遭って…。」と語ると、「どんな気持ちなんですか?あの時って」と収録時の心境を島﨑さんが河浪監督に質問。「もう檻の中に入ったような気持ちで、あらゆる猛獣たちが…」と河浪監督が笑いを誘うと、「そうですね、全員猛獣なのは間違い無いですね。猛獣なのか海の獣たちなのか」と島﨑さんも納得の様子でした。
「みんな物作りに真剣なのでそれの相乗効果で、自分ひとりだけじゃない、想像を超えた何かっていうのが出てきて、そのライブ感というか、熱感がフィルムにも表れていると思います」とキャスト・スタッフたちの熱意が作品にも反映されている実感を河浪監督は語りました。

印象に残っているエピソードについて河浪監督は「島﨑さん自身、1期から色々経験を積まれてきて遙としてのベース・軸があります。今回は振れ幅のある演技が色々あったと思うんですけど、これ以上行ったら遙じゃなくなるけど、ここまでだったら遙だっていうベースがこの年月でできていて、その芯の強さというのはずっと感じていましたね」と長年、遙を演じてきた島﨑さんの強みを振り返りました。

音楽の聴きどころを尋ねられた加藤さんは「今回、新しい切り口で音楽を作り、挑戦をしています。でも、今まで築いてきた“『Free!』らしさ”もとても大事にしないといけない部分なんです。この作品は長い時間みんなで作ってきたものなので、自分自身、自然体でいると“『Free!』らしさ”が出そうと思わなくても出てきちゃう。常に挑戦し続けることと共にそういった部分もまた“『Free!』らしさ”なのかなと思ったら、あまり意識しなくても自由に作れるんじゃないかと思うようになりました。最初は肩の力が入ってものすごく難航したんですけど、そう思ってからは少し気が楽になったというか、自然体で作ることができたんじゃないかなと思ってます」と制作時の思いを振り返りました。「『Free!』らしいけど新しくて、攻めてるんだけど自然に調和してるっていうのをすごく感じました」と島﨑さんが音楽の感想を伝えました。
また、「過去の『Free!』シリーズの劇場作品ではアフレコ収録後の映像を見ながら音楽を作っていたのですが、今回はアフレコ収録よりも先に音楽を作るスケジュールだったので、セリフのない状態の映像を先に頂きました。そこから、コンテを見て脚本を見て音楽を作り始めたんですけど、やっぱり難しくて。感情が繊細な表現が多いじゃないですか、『Free!』って。だから今回は、前編のセリフをまずは全て全部自分で吹き込むということに初挑戦しました。全部自分でアフレコして、それで音楽を作り始めました」と驚きのエピソードを加藤さんは告白。これには島﨑さんも驚き、加藤さんのプロ意識を感じさせるひと幕となりました。

最後の挨拶になると、加藤さんが「色々な人の想いが詰まった一作だと思っています。その作品に自分もスタッフとして参加させていただいて、本当に幸せです。一度では受け止められないものがたくさん込められていると思うので、何回も何回もぜひ劇場に足を運んでいただいて遙たちの姿を見ていただきたいと思います。そしてまた後編も待っていますので楽しみにしていてください」と語り、続いて河浪監督が「なんとか公開を迎えることができました。引き続き制作に向き合っていきますので、後編もぜひ観ていただければと思います。まずは公開初日に観ていただいて、本当にありがとうございます」と挨拶。
最後に島﨑さんが「僕は本当にもう、ありがとうございます、という気持ちです。こうやって皆さんに観にきていただいて、愛してくださって。そして何よりこんなに素敵な作品に、幸せな作品に関わらせていただいてありがとうございます。こんなに素晴らしいものを観させていただいて、仕上げてくださってありがとうございます。そんな気持ちでいっぱいで、僕はずっと幸せでしたね。『ずっと観ていたいな、この映画』と思わされるような、本当に全てに愛が溢れてる作品になっておりますので、どうか余すことなく思いっきり楽しんでください。情報量が本当に凄いので、一回じゃ追いきれないと思います。自分の中で噛み砕けるまで、時間をかけてたくさん楽しんでいただいて。そして、またとっても幸せで素敵で最高な後編が待っておりますので、そちらを楽しみに気持ちを高めて『Free!』シリーズをこれからも愛していただければと思います。引き続き、『劇場版 Free!-the Final Stroke-』前編を思いっきり楽しんでいただければと思います」と感謝の想いとともに舞台挨拶を締めくくりました。